連用修飾の数量表現をチェックする – 翻訳しやすい日本文を

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「日本語スタイルガイド 第3版(一般財団法人 テクニカルコミュニケーター協会 編著) 第5編 翻訳しやすい日本語の要点」で解説されている「連用修飾の数量表現」について検出できるか試してみます。

主なトピック
連用修飾の数量表現とは
検出する例文:試薬を5グラム使用する
検出する例文:トラブルの原因はほとんどが水漏れです

目次

連用修飾の数量表現とは

連用修飾の数量表現とは
たとえば「試薬を5グラム使用する」というものである。このような連用修飾の数量表現は日本語固有であって、英語などほかの言語に翻訳しにくい。こういった連用修飾の数量表現に接したとき、翻訳者はその文を翻訳するときに文の構造を考え直す必要がある。(中略)こういった連用修飾の数量表現は連体修飾句に言い換える。つまり「5グラムの試薬を使用する」というように連体修飾句に言い換える。こうすることで、英語と語順が合って、翻訳しやすくなるし、翻訳によるばらつきもなくなる。

「日本語スタイルガイド 第3版(一般財団法人 テクニカルコミュニケーター協会 編著)第5編 翻訳しやすい日本語の要点」 212ページより抜粋、引用

検出する例文:試薬を5グラム使用する

STEP1 形態素アナライザーで解析

スタイルガイドの例文を形態素アナライザーで解析すると、下記の品詞で構成されていることが確認できました。

STEP2 ルール辞書を作成

例文と同じ語順で各品詞が出現すれば指摘できるルールのパターンを作成してみます。
各用語の指定には、ルール辞書作成上の「不特定表記」というものを使用しています。「指定した品詞を持つ任意の単語」を意味します。なお、ルール辞書用では、辞書ユーティリティで登録するときの品詞と一部の表記が異なるため、注意が必要です。今回の例では、「名詞サ変」という品詞名のままではルール辞書を作成できないため、名詞類全般を指す「体言」および動詞類全般を指す「用言」の2種類の大分類の表記を使用しました。

STEP3 Just Right!でトライ

例文および例文と品詞の語順が同じの別表現を検出することができました。
スタイルガイドには「連用修飾の数量表現」の別の例文パターンも掲載されているため、次回はそれらの例文についてトライするか、今回のルールをもう少し汎用的にしてみます。

検出する例文:トラブルの原因はほとんどが水漏れです

「日本語スタイルガイド 第3版(一般財団法人 テクニカルコミュニケーター協会 編著) 第5編 翻訳しやすい日本語の要点」で解説されている「連用修飾の数量表現」について、前回記事で確認していない例文をもとに試してみます。

例文紹介

下記例文が掲載されています。

× トラブルの原因はほとんどが水漏れです。
○ トラブルのほとんどの原因は水漏れです。

× このメーリングリストのファシリテーターが複数必要になります。
○ このメーリングリストには、複数のファシリテーターが必要です。

前回は数値でしたが、今回の例文では下線部に概数の数量表現が使用されています。

STEP1 ルール辞書を作成

例文を形態素アナライザーで解析した結果(品詞の順番等)をもとに何回かトライ&エラーを繰り返して指摘できるルールのパターンを作成してみました。

最初の枠で囲った「@前概数」はグループ定義です。「ほとんど」と「複数」を個別に指定するのではなく、まとめて一つの表記で指定するために定義しました。
一つ目の■で指摘するパターン(誤りのパターン)を定義しますが、2つ目の枠囲いではその例外として指摘させないパターン(正解パターン)を定義しています。

下記がグループ定義ファイルの内容です。

ルール辞書への変換時にグループ定義したファイルも指定します。

STEP2 Just Right!でトライ

例文および例文と品詞の語順が同じの別表現を検出することができました。

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