ATOK は初期設定のままでは、出荷時に用意された変換用ユーザー辞書「ATOK30U1.dic」と省入力用ユーザー辞書「ATOKKAR.DAR」に、自動的に学習結果や登録した用語が蓄積されます。
ユーザーごとの「個人単位」での入力効率は、「変換精度」とともに、徐々に向上していきます。
しかし、組織内での表記揺れの是正・専門用語の統一などは、「変換用ユーザー辞書」を作成して共有することで、文字入力・変換時点からの是正が可能になります。
ここでは、組織内で ATOK のユーザー辞書を共有する前提で、ATOK の辞書作成を進めていきます。
STEP1「変換用ユーザー辞書」の作成
変換用語の登録先となる「変換用ユーザー辞書」を作成します。
① Windows10 で、ツールバーに表示された「言語バー」の青いアイコンをクリックし、ATOK のメニューを表示します。
「辞書メンテナンス>辞書ユーティリティ」をクリックします。

なお、言語バーが表示されていない場合、ツールバー上で右クリック「ツールバー>言語バー」にチェックを入れます。

② ATOK 辞書ユーティリティを起動します。
※ ATOK 辞書ユーティリティを初回起動した場合、標準のユーザー辞書が表示され、すでに自動的に学習された用語一覧が表示されております。

③「ファイル>新規作成」をクリックします。
④辞書を選択、ファイル名(任意)、タイトル/説明等(自由記述)を入力し、OK をクリックします。

⑤ OK をクリックすると、作成した辞書が、「ATOK 辞書ユーティリティ」で開いた状態になります。
※新規に作成された「変換用ユーザー辞書」のため、この状態では空の状態となります。

⑥作成した「変換用ユーザー辞書」に用語を登録します。
すでに作成済みの「変換用ユーザー辞書」に辞書に追加する場合は、辞書ユーティリティから「ファイル>開く」で編集したいユーザー辞書を選択します。
編集>単語登録を選択します。

⑦単語、読みを入力し、品詞を設定し、「推測候補にも追加する」にチェックを入れます。
例)島本理生(直木賞受賞作家)
※品詞の判定が難しい場合、Just Right! の「校正設定」と「校正用ユーザー辞書」の STEP 3「形態素アナライザー」を利用して、品詞の判定を行ってください。

⑧「ATOK 辞書ユーティリティ」に単語が追加されます。

STEP2 一括での「変換用ユーザー辞書」への登録
STEP1 の方法では、単語を1語1語登録していく必要があります。すでに登録したい単語の一覧がある場合は、Excel や表計算ソフトで編集したファイルから一括登録が可能です。

①上図のような表計算ファイルに、情報を入力
登録したい単語を1行につき1単語記述し、テキスト形式で保存したファイルを「単語ファイル」といいます。辞書登録する前に表計算ソフト上で整理いただく際は、xlsx などの一般的な表計算ファイル形式で編集・保存をお勧めします。ここでは、表計算ソフト上で作業する前提で進めます。
そのうち、
A 列:読み※
B 列:単語※(変換候補)
C 列:その品詞※
D 列:単語につけるコメント(64 文字まで)
E 列:自動置換(文字や単語の置き換えを、変換候補で自動的におこなうか)
F 列以降:単語(2 個目以降の変換候補) ※ E 列が「する」の場合は1個以上必須
最低限、※印の A・B・C 列が入力必須項目です。
TIPS:複数人数で辞書を管理・登録したい場合
共有フォルダーやサーバーに上記のような表計算ファイルを置いておき、そこに指摘すべき単語を書き込んでもらいます。週次・月次等で内容を確認して、ATOK の辞書ユーティリティに取り込んで ATOK の変換用ユーザー辞書に取り込みます。
なお、Excel 等で編集しやすいように、セルの罫線・色づけ・文字サイズフォント等はご自由に設定してください。
② ATOK 辞書ユーティリティで取り込む準備を行います。
①で編集していた表計算ファイルを、別名保存で「TXT 形式で保存」します。
以下の画面は Excel 2013 での保存画面です。ファイルの種類で「テキスト(タブ区切り)」を選び、保存します。この際、②で使用したセルの罫線、色、フォントサイズ、改行タグ等はすべて削除されます。

③「ATOK の辞書ユーティリティ」を起動して、「ツール>ファイルから登録・削除」を選択

④ファイルに先ほど作成した、TXT ファイル(タブ区切り)を参照し、「ファイル形式:MS-IME」を選択して、登録ボタンを押します。

⑤登録された結果が表示されます。
登録できなかった単語がある場合は確認してください。

⑥単語が登録されると、ATOK 辞書ユーティティ側で、単語が追加されます。

⑦辞書ユーティリティを終了します。

変換用ユーザー辞書は作成されましたが、ATOK の変換辞書として紐付けがされておりません。「STEP5 スペルチェック用ユーザー辞書の登録」で、ATOK に「変換用ユーザー辞書」と「省入力用ユーザー辞書」をひも付けます。
STEP3 省入力用ユーザー辞書の作成
省入力変換用語の登録にする「省入力用ユーザー辞書」を作成します。
① Windows10 で、ツールバーに表示された言語バーの青いアイコンをクリックし、ATOK のメニューを表示します。
「辞書メンテナンス>省入力データの編集」をクリックします。

なお、言語バーが表示されていない場合は、ツールバー上で右クリック>ツールバー>言語バーにチェックを入れます。

② ATOK 辞書ユーティリティを起動します。
※標準設定では、標準の省入力ユーザー辞書が表示され、自動的に学習された用語一覧が表示されています。
③ ATOK 辞書ユーティリティから、「ファイル>新規作成」をクリックします。

④「省入力データ」を選択、ファイル名(任意)、 タイトル/説明等(自由記述)を入力し、OK をクリックします。

⑤辞書ユーティリティが④で作成した辞書(ここでは「○○出版社省入力辞書.dar」)に切り替わっていること(任意名の辞書)を確認します。
既存の省入力用ユーザー辞書に追加する場合は、「ファイル>開く」で編集する「省入力用ユーザー辞書」ファイルを指定してください。

⑥「編集>省入力データ登録」クリックします。

⑦単語と読みを入力し、実行をクリックします。連続して、入力していくことも可能です。

STEP4 一括での「省入力用ユーザー辞書」への登録
STEP3 の方法では、単語を1語1語登録していく必要があります。すでに登録したい単語の一覧がある場合は、Excel や表計算ソフトで編集したファイルから一括登録が可能です。
①省入力用ユーザー辞書の単語ファイル
登録したい単語を1行につき1単語記述し、テキスト形式で保存したファイルを単語ファイルと言います。編集時は、xlsx 形式など、一般的な表計算ファイル形式で編集をお薦めします。
以下のように読みと単語を入力します。
A 列:省入力で引き込みたい読み(B 列の一部分の読み)
B 列:単語(変換候補)

TIPS:複数人数で辞書を管理・登録したい場合
STEP2 と同様に、共有フォルダーやサーバーに書き込み用の xls 形式のファイルを置いておき、そこに指摘すべき単語を書き込んでもらいます。週次・月次等で内容を確認して、ATOK の辞書ユーティリティに取り込んで ATOK の変換用ユーザー辞書に取り込みます。
なお、Excel 等で編集しやすいように、セルの罫線・色づけ・文字サイズフォント等は任意に設定してください。
②表計算ソフトで、「TXT 形式で保存」します。
画面は Excel 2013 での保存画面です。ファイルの種類で「テキスト(タブ区切り)」を選び、保存します。
この際、表計算ソフト上で使用したセルの罫線、色、フォントサイズ、改行タグ等はすべて削除されます。

③ ATOK の辞書ユーティリティを起動して、「ファイル」から、単語を登録する「省入力用ユーザー辞書」を選択します。
④「ツール>ファイルから登録・削除」をクリックし、先ほど作成した、TXT ファイル(タブ区切り)を参照して、登録ボタンをクリックします。

⑤登録された結果が表示されます。
登録できなかった単語がある場合は確認してください。

⑥登録されると、ATOK 辞書ユーティリティ側に追加されます。
登録されたことを確認して、ATOK 辞書ユーティリティを終了します。

※辞書は作成されましたが、ATOK の変換辞書として紐付けられておりません。STEP5 で、ATOK に変換用ユーザー辞書と省入力用ユーザー辞書をひも付けます。
STEP5 プロパティの作成と辞書の紐付け
用意されているプロパティを元に独自プロパティを作ります。
プロパティに STEP4 までで作成した、「変換用ユーザー辞書」「省入力用ユーザー辞書」を紐付け、変換時にユーザー辞書が有効になるように設定します。
① Windows10 で、ツールバーに表示されている言語バーの青いアイコンをクリックし、ATOK メニューを表示し、プロパティを選択します。

②「プロパティ登録編集」から、「現在の設定を登録」を選択します。

③「任意の名前を入力」して、OK をクリックします。

④入力した名称のプロパティが選択された状態になります。「入力・変換」のタブで、設定項目を任意に変更できます。
※ここでは初期状態のまま進めます。

⑤「辞書・学習」タブをクリックして、「辞書セット一覧:標準辞書セット」を選択し、「辞書の追加と削除」をクリックします。

⑥右側の「追加可能な辞書の一覧」から、STEP 3で作成した「変換用ユーザー辞書」を選択し、「追加」をクリックします。
※複数辞書を併用したい場合は、⑥を繰り返して、順次追加します。

右側の追加可能な一覧に、作成した辞書がない場合、「ファイルを指定して追加」をクリックして、変換用ユーザー辞書ファイルを参照します。
※ ATOK の辞書の格納場所は、C:¥Users¥ユーザー名¥AppData¥Roaming¥justsystem¥ATOK¥DIC
です。こちらから作成した「変換用ユーザー辞書」を参照してください。
⑦作成された「変換用ユーザー辞書」が左側の標準辞書セットの下に追加されます。

※『辞書の表示名』については、ATOK 辞書ユーティリティで新規辞書を作成した際に「タイトル」に入力された名前で表示されます。

ATOK のプロパティに戻って、標準辞書セットに、追加されていることを確認してください。

⑧次に、省入力用ユーザー辞書を指定します。ATOK プロパティの「入力変換」タブ・「省入力データ」を選択し、追加・削除を選択します。

⑨⑥での設定を参考に、右側に表された省入力ユーザー辞書を選択するか、表示されていない場合は、「ファイルを設定して追加」にて、あらかじめ作成した辞書ファイル設定します。

※なお『辞書の表示名』については、「変換用ユーザー辞書」と同様に、ATOK 辞書ユーティリティで新規辞書を作成した際に「タイトル」に入力された名前で表示されます。

⑪ ATOK のプロパティ上で、省入力データに、「DEMO」が追加されました。

⑫入力テストして辞書が機能しているか、確認してください。
※右では「あくた」と入力すると、省入力候補として、変換キーやスペースキーを押さずに、候補を自動表示
