【Just Right!・ATOK活用ガイド > Just Right!活用コラム > 生成AIは日本語校正支援に利用できるかトライ(3)】
一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会(JTCA)のシンポジウムにて生成AIを校正支援に利用するための研究発表をしましたので、そのダイジェストのご紹介と、所見をまとめました。
■ルールに沿った校正をGPT-4oとJust Right!で比較してみた
今回の記事ではGPT-4oでどうだったかをご紹介します。Just Right!側での手順や結果は別タイトルにして次回の記事として掲載いたします。
比較の題材
目視で校正するときに参照する資料を模した次の校正ルールを題材として、準備、校正の品質、校正結果の記録にかかる時間をまとめています。
GPT-4oへのルール投入
ブラウザを閉じてもルールを覚えておいてもらうために、「マイGPT」を作成して、校正ルールのExcelを読み込ませましたが、うまくいかなかったため、プロンプトで指示をしつつ、提示された方法にてルールを覚えてもらいました。
以下は、GPT-4oとのやりとりの抜粋です。
GPT-4oからルールの投入の仕方を提示され、そのとおりにルールを記載して指示を与えたので、ルールも覚えてもらえたと期待したのですが、想定していなかった結果となりました。
結果ダイジェスト
各工程に要した時間は下記のとおりです。GPT-4oの場合は試行錯誤した時間も含めています。
準備~校正実行~結果の記録
準備
校正を実行するための準備ができたとの回答をもとに進めましたが、指示したルールどおりに修正しないなど、準備ができていないと確認できた箇所が多数あり、プロンプトのやりとりで試行錯誤を繰り返すことになり、校正を実行させるまでにさらに時間がかかりました。
校正実行
プロンプトで指示したにも関わらず、指示を守ってくれない、無視される校正ルールが校正実行のたびに異なることがありました。また、校正結果の残し方についても、指示をしたにもかかわらず校正実行のたびに異なっていました。
結果の記録
校正結果がテキストファイルでしか出力できないため、WordやPDFに直接記録できませんでした。校正結果を手動で反映する必要があり、入力ミスを防ぐために慎重に進めました。
所見
複数の校正ルールを、まとめてではなくひとつひとつに分解して指示を出すと回答の精度が上がる傾向は確認できています。また、「景品表示法の観点から、以降に示した文章に問題はないか?」といった問いかけであれば、「気づき」になりうる有益な指摘がその根拠情報とあわせて得られることもわかっています。現状の生成AIでも厳密な校正ルールに則った校正ではない使い方であれば活用できると思われます。
ChatGPTの「GPTを探す」では、日本語校正用に公開されているカスタムされた「マイGPT」を見つけることができます。どのように「マイGPT」にルールを覚えさせたのか、またどのような順番で校正をするように指示をしているのか興味はありますが、そこに試行錯誤の時間をかける機会を得ることが難しいので、効果が確認できる使い方に限定して今後も活用していくこととします。