ここでは、実際に個別の「校正設定」を作成し、「校正用ユーザー辞書」と「スペルチェック用ユーザー辞書」の作成・登録・校正設定に紐付ける方法を解説します。
STEP1 校正設定の作成
校正設定は、最初から用意されている設定を元に、独自の校正設定を作成していきます。
① Just Right! を起動して、「校正>設定」をクリック。

②ベースとなる「校正設定」をクリック。校正設定名に「名前」(任意)を入力して OK をクリックします。

※ここでは「すべて」を選択
※オプション辞書をインストールしていると、
- 医療用校正辞書→[医]
- 共同通信社記者ハンドブック校正辞書→[記]
- ライフサイエンス校正辞書→[LSD]
の項目が増えます。
③詳細な校正設定を行います。
「設定項目」のタブを順番にクリックして任意に設定していき、最後にOK をクリックして設定を保存します。
詳細な設定は、Just Right!・ATOK活用ガイド > 使い方ガイド編2・校正設定と項目 をご参照ください。

⑤ Just Right! のメインウインドウに戻ると、さきほど作成した「校正設定」が Just Right! 上で選択された状態になります。

⑥校正用のユーザー辞書を作成します。
Just Right! のメイン画面から、「ツール>校正辞書ユーティリティ」をクリックします。

⑦「ファイル>新規作成」をクリックして、辞書ファイル名に任意の名前をつけたら、OK をクリックして閉じます。
タイトルはこの辞書に対する説明を書いておくことができます。

※ Windows 10 Pro の場合、辞書ファイルは、
C:¥Users¥(ログインユーザー名)¥AppData¥Roaming¥Justsystem¥Common
内に格納されます。
⑧「任意の校正設定」に「ユーザー辞書」を関連付けます。
Just Right! のメイン画面で、右側の校正設定のボタンをクリックします。

⑨「校正設定一覧」から、③で名前を付けた「校正設定」を選んで「編集」をクリックし、「校正設定の編集」の「校正設定項目」から「校正用辞書」をクリックします。

⑩「ユーザー辞書」の「参照」をクリックして、⑥で作成した「任意名の校正用ユーザー辞書」を指定します。

⑪「校正設定の編集」ウインドウに戻って、ユーザー辞書のところに指定したファイル名が入っていることを確認します。

※複数の校正用ユーザー辞書を同時に使用する場合は、「拡張辞書 1」~「拡張辞書 5」にそれぞれ、別の校正用辞書を参照させます。
⑫お仕事により、「校正設定と校正用ユーザー辞書」のセットを作成される場合は、①~⑪の設定を繰り返します。
お仕事やプロジェクトごとに、「校正設定と校正用ユーザー辞書」を作りわけることで、異なった校正設定・ユーザー辞書を用いて、Just Right! での校正作業が可能になります。
STEP2「校正用ユーザー辞書」への登録
STEP1 で作成した任意の「校正用ユーザー辞書」は現状では中身がありません。STEP2 では、「校正用ユーザー辞書」へ、単語登録を行う手順を解説します。
① Just Right! のメイン画面から、「校正辞書ユーティリティ」をクリックします

②校正辞書ユーティリティから、「ファイル>開く」をクリックします。

③単語を追加したい任意名の「校正用ユーザー辞書」のファイルを選択します。

④校正辞書ユーティリティのメイン画面下に選択した「校正用ユーザー辞書」名が表示されます。
※なお、①の時点で、すでに「校正用ユーザー辞書」が指定されている場合があります。単語登録を始める前に、編集対象の辞書ファイルであるか確認してください。

⑤校正辞書ユーティリティの「登録」をクリックします。
⑥登録単語の編集・登録から「指摘したい語句」を入力します。
Just Right! の「登録単語」は指摘したい、もしくは間違った単語や訂正対象とすべき語句・使い方です。
単語登録するためには、
「単語」指摘したい語句
「読み」その読み方
「品詞」品詞の選択
「指摘理由」と「指摘理由の補足」
「訂正候補」
を入れる必要があります。
⑦登録する一例です。
例)
単語:咀嚼
読み:そしゃく品詞:名詞サ変
指摘理由:難解な単語
訂正候補の「編集」をクリック
訂正候補1のウインドウで、
訂正候補:そしゃく
候補への補足:平仮名表記
品詞:名詞サ変
まで入力して OK をクリック
複数の訂正候補がある場合は、訂正候補の2・3の位置を選択してから、編集をクリックして、訂正候補を追加します。

訂正候補 2
訂正候補:かみ砕く
候補への補足:言い換え候補・・・
品詞:その他・カ行五段
「登録単語の登録・編集」ウインドウで OK をクリックします。
⑧校正辞書ユーティリティに単語追加されました。
⑤~⑦をご参照いただき、単語を追加登録していきます。「終了」をクリックしますと、校正ユーザー辞書ファイル内に単語が追加されます。

辞書の登録について、よくあるご質問
「単語の品詞がわからない」
この後で紹介する、「形態素アナライザー」を使用いただきますと、品詞の自動判定が可能です。
「専門用語の指摘数が多すぎる(過指摘状態)」
単語登録する際に、「訂正候補・指摘理由・指摘の補足」を入力しないで単語を登録されると、「登録した用語は正しい用語」として扱われ、指摘されなくなります。
「なぜ動詞や形容詞など細かく品詞を設定するのか」
品詞を正しく設定しますと、その単語の活用形もチェックの対象になります。
例)「行う」を登録する場合
単語:行
読み:おこな
品詞:その他ワ行五段
訂正候補:おこな
上記のように登録しますと、「行った」「行わない」「行えば」など活用形も指摘対象になり、候補として「おこなった」「おこなわない」「おこなえば」などに訂正できます。
STEP3「形態素アナライザー」による単語登録
STEP2 で単語登録を行う場合、登録する単語の「品詞の判定」は、ある程度の専門知識が必要です。形態素アナライザーをお使いいただくと、品詞の判定をしつつ、そのまま単語登録が可能になります。
① STEP2 を参考にして、「校正設定」で、単語を登録したい校正設定を選んでおきます。
② Just Right! のメイン画面から、「ツール>形態素アナライザー」をクリックします。

③形態素アナライザー上の「校正設定」と「確認」をクリックして、単語登録を行う「校正用ユーザー辞書」であるか確認します。
④登録したい単語を含む「文章」を、「入力文」に入力します。
※単語でなく文書で入力することで品詞判定・文節区切りの精度が上がります。

⑤「単語に分解」をクリックします。
⑥文章が文節単位に区切られます。
青く色づいた部分のうち、登録したい単語をクリックすると、単語情報が表示されます。
⑦「単語登録」をクリックして、指摘理由や訂正候補など必要事項を追記します。
⑧ OK をクリックすると、①で選択した校正設定に紐付く「校正用ユーザー辞書」に単語が追加されます。

⑨「校正用辞書ユーティリティ」を起動すると、登録された単語が確認できます。

STEP4 一括での校正用ユーザー辞書の登録
STEP2 ~3の方法では、単語を1語1語登録する必要があります。すでに登録したい単語の一覧がある場合は、Excel や表計算ソフトで編集したファイルを、一括登録することが可能です。
①-1 登録したい単語を1行につき1単語記述します。
テキスト形式で保存したファイルを「単語ファイル」と呼びます。辞書登録する前に表計算ソフト上で整理いただく際は、xlsx などの表計算形式で編集・保存しておくことをお勧めします。ここでは Excel・表計算ソフト上で作業する前提で進めます。
①-2 表計算ソフト上で、単語を整理する場合は、1 単語につき次のような項目を入力します。
A 列:指摘対象の単語
B 列:その読み
C 列:その品詞
D 列:レベル(/L1 ~/L3 を指定。レベルを変えることで指摘時の塗り色が変わります)
E 列:任意の指摘理由(一括で「社内ルール」などの理由でも OK です)
G 列:訂正候補 1
Q 列:訂正候補の品詞(空白の場合、C 列の品詞が適用されます)が入力必要な項目です。
※複数人数で辞書登録作業を共有したい場合
上記のような表計算ファイルを共有フォルダーやサーバーに置いておき、そこに指摘すべき単語を書き込んでもらいます。週次・月次等で内容を確認して、Just Right!の校正用ユーザー辞書に取り込みを行います。
なお、Excel 等で編集しやすいように、セルの罫線/色/文字サイズ/フォント等は任意に設定してください。
②辞書ユーティリティで取り込む準備を行います。
①で編集していた表計算ファイルを、別名保存で「txt 形式で保存」します。この際、①で使用したセルの罫線、色、フォントサイズ、改行タグ等はすべて情報として破棄されます。
※以下の画面は Excel 2013 での保存画面です。ファイルの種類で「テキスト(タブ区切り)」を選び、保存します。

③ Just Right! を起動して、「ツール>校正辞書ユーティリティ」を起動します。

④校正辞書ユーティリティのメイン画面から、「ファイル>開く」をクリックします。

⑤単語を追加編集したい「校正用ユーザー辞書」ファイルを選択します。

⑥校正辞書ユーティリティのメイン画面下に選択した「ユーザー辞書名」が表示されます。

⑦校正辞書ユーティリティから、「ツール>一括登録>単語ファイル」をクリックします。

⑧一括登録のウインドウから、「単語ファイル>参照をクリック」して、③で作成した、テキストファイルを指定します。

⑨登録できなかった単語をファイルに記載にチェックボックスを入れ、参照をクリックします。
任意の場所に「log」という名前を入力して、開くをクリックします。
※単語のファイルから、登録できなかった単語をこのファイル内に記録します。記録できなかった単語とその理由が記録されます。

⑩登録をクリックすると、txt ファイルから単語が一括登録されます。

⑪登録終了後、登録語数と未登録語=エラーがあって登録できない数が表示されます。
「未登録語」が1以上の場合は、登録できなかった単語がありますので、「log」ファイルを開き、登録できなかった単語を確認します。元の Excel ファイルを修正して登録するか、校正辞書ユーティリティ画面上で直接登録します。

⑫校正辞書ユーティリティのメインウインドウに戻ると、流し込まれた単語が一覧になります。
それぞれの単語をクリックしてから、「変更」をクリックすると、内容の修正が可能です。

STEP5 スペルチェック用ユーザー辞書の登録
ここでは、英単語やアルファベット表記の製品名・商品名を登録する「スペルチェック用ユーザー辞書」を作成します。
【ご注意】
スペルチェック用辞書に登録する単語は、「商品名・個人名・専門用語」などです。目的は、Just Right! の「標準のスペルチェック用辞書に単語がないために指摘が入る」用語を、チェック対象から外すために作成します。
例:スバル「LEVORG」、トヨタ「Vitz」、バイオ「VAIO」・・・
① STEP1 で作成した校正設定に、「スペルチェック用ユーザー辞書」を追加します。
Just Right! のメイン画面から、「ツール>スペルチェック用ユーティリティ」をクリック。

②「ファイル>新規作成」をクリックして、辞書ファイル名に「任意の名前」をつけます。OK をクリックして閉じます。
※この時点では、単語が登録されていない、空の辞書ファイルを作成した状態になります。

※Windows 10 Pro の場合、辞書ファイルはC:¥Users¥(ログインユーザー名)¥AppData¥Roaming¥Justsystem¥Common
内に格納されます。
③「任意の校正設定」に「スペルチェック用ユーザー辞書」を関連付けます。
Just Right! のメイン画面で、右側の校正設定のボタンをクリックします。

④「校正設定一覧」から、STEP1 の③でつけた「任意の設定」を選び、「編集」をクリックします。
⑤「校正設定の編集」の「校正設定項目」から、「スペルチェック用辞書」をクリックします。

⑥「ユーザー辞書」の「参照」をクリックして、②で作成した「任意名のスペルチェック用ユーザー辞書」を指定します。

⑦「校正設定の編集」ウインドウに戻って、スペルチェック用ユーザー辞書の欄に指定したファイル名が入っていることを確認します。
※複数のスペルチェック用ユーザー辞書を同時に使用する場合は、「拡張辞書 1」~「拡張辞書 3」にそれぞれ、別の校正用辞書を参照させます。

⑧業務やプロジェクトにより、複数の「校正設定と辞書」のセットを使い分ける場合は、複数作成した校正設定それぞれに、スペルチェック用ユーザー辞書を紐付けます。
⑨ここまで作成した任意の「スペルチェック用ユーザー辞書」は、現状では中身がありません。スペルチェック用ユーザー辞書への単語登録を1個ずつ行います。
⑩ Just Right! のメイン画面から、「スペルチェック用辞書ユーティリティ」をクリックします。

⑪「スペルチェック用辞書ユーティリティ」で、「ファイル>開く」をクリックします。

⑫②で作成した「スペルチェック用ユーザー辞書」を選択します。

⑬スペルチェック用辞書ユーティリティのメイン 画面下に選択した「スペルチェック用ユーザー辞書」名が表示されます。
※なお、⑪の時点で、すでにスペルチェック用ユーザー辞書が指定されている場合があります。単語登録を始める前に、編集対象の辞書がそのファイルでよいか確認してください。

⑭スペルチェック用辞書ユーティリティの「単語」欄に登録したい単語を入れて、追加をクリックします。

⑮⑭を繰り返して、登録したい単語が終わったら「終了」をクリックします。

⑯「単語ファイル」から、まとめて「スペルチェック用ユーザー辞書」に登録します。

メモ帳やテキストエディター、Excel などで作成が可能です。書式は、
1行目に!!SPELL2
と記述
2行目以降、行頭に!!
でコメント行
(任意)登録したい単語を「1行に1単語で改行」していきます。
EXCEL で作成される場合は、1 行目をコメント行、以下1行ごとに1単語で記述して、txt 形式で保存してください。
⑰スペルチェック用辞書ユーティリティを起動して、「ツール>一括登録>単語ファイル」を選択します。

⑱参照をクリックして、⑯で作成した単語ファイル(txt 形式)を指定し、登録をクリックします。
※未登録単語「□登録できなかった単語をファイルに記録」は、STEP4 の⑨を参照してください。同様に登録できなかった単語と理由をログとして保存できます。

⑲単語が登録されます。

Just Right! の「校正設定」と「校正用ユーザー辞書」の作成TIPS
単語ファイルとは
登録したい単語を、所定の書式で1行につき1単語記述し、テキスト形式で保存したファイルのことです。
スペルチェック用辞書に単語を登録するときの制限
登録できる単語は半角で64文字以内です。全角文字、スペース、タブ、括弧、半角カナは登録できません。大文字・小文字の差は、別の単語と見なされます。
大文字・小文字での指摘
登録した単語の大文字・小文字の違いによって、指摘される単語の表記が違ってきます。登録した単語は、スペルチェック実行時に先頭だけ大文字の単語、すべて大文字の単語に展開されます。このため、登録していない表記の単語も、辞書に登録されていると見なされることがあります。
